日本の教育を考える

〜私立小学校新設の動きに注目!

 

米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

英語による授業、日本の伝統文化体験、エリート養成教育などの充実で差別化図る

 最近の日本では私立小学校が続々と新設されています。特に近畿圏では名門大学が中高一貫校に加え小学校を設置する動きがあり注目を集めています。昨年度新設された同志社小学校、立命館小学校に続き、来年度には関西学院小学校が、その翌年度には関西大学付属小学校の新設が予定されており、関関同立が揃い踏みします。また、中京圏においても来年度南山大学付属小学校の新設が予定されています。少子化が続く中で対象とする年齢層を広げることが学校経営の重要課題となっている一方で、子ども一人当たりの教育費の増加と公立校離れによる私立志向を狙っての動きだと考えられます。これら西日本の大学の動きは、現在、小学校を持たない東日本の大学にも波及する可能性もありそうです。

 ところで、最近の新設小学校の特色を見ると、独自の教育や施設の充実によって差別化を図ろうとしているのが分かります。まず、多くの学校で英語教育に力を入れていることが顕著です。小学1年生からネイティブスピーカーの教師による英語の授業を導入している他、英語以外の教科学習を英語で行なうイマージョン教育などの導入によって、英語圏の学校のように英語を自然に定着させるようなカリキュラムが組まれています。それと並行して、現代社会において希薄になりつつある日本の伝統文化を感じ取るために、茶道、華道、書道、和楽器演奏などの活動を導入している学校もあります。また、公立学校の学力低下が懸念される中で、土曜日にも授業を行なったり検定教科書以外の副教材の使用などによって、将来の進学を念頭に置いたエリート養成の教育を行なうことも特色のひとつです。また、施設も新しいだけでなく、その豪華さに目を見張るところもあります。屋内温水プールや立派な体育館の他、水族館やプラネタリウムのある学校までもあります。

 このような特色を持つ私立小学校の学費はそれなりに高くはなりますが、子どものために最良の教育と環境を与えてくれるのならば入学させたいという親のニーズを的確にキャッチした学校側の工夫を感じることができます。そして、これらの小学校は海外帰国生にとっても最良の教育と環境を備えていると言えます。せっかく吸収した英語力の保持、また海外で触れることの少なかった日本の伝統文化の吸収、そして、海外では手の回らなかった受験的な教育も実践していることは願ってもないことです。また、このような私立小学校が首都圏のみでなく近畿圏や中京圏に広がっていることも朗報でしょう。すべての学校が帰国生の受け入れ枠を持っているわけではありませんが、学校側は帰国生を積極的に受け入れてくれると思われます。詳細は、直接各学校にお問い合わせになられるとよいでしょう。

 話は変わりますが、このような新設私立小学校の出現によって、公立小学校との格差はますます広がる一方です。また、私立小学校のほとんどは大都市圏にあることを考えると、社会問題になっている都市部と地方との格差もますます広がることが気になります。私は日頃の活動を通じて、地方が都市部に負けず劣らず活性化していくために尽力したいと考えています。 

           

           ~Weekly Business News 2007年4月20日号掲載

 

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