日米の教育事情

〜補習校が持つ重要な役割とは?

 

 米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

 日本式の学校生活の体験が帰国時に役立つ

 

 日本では新年度がスタートしました。海外の日本人学校や補習校でも、新しい学年での学校生活が始まっています。毎年見る光景ではありますが、新しい教科書を手にして新学年での期待と不安に胸を膨らませている子供たちの姿をとてもほほえましく思います。 

 ここ米国で暮らす日本人子女は補習校に通学する比率が高いですが、最近は学習塾や家庭教師などを利用して、補習校に通学しないというケースも増加しています。帰国時の受験に対応するためには、学習塾や家庭教師を利用した方が効率的であるという保護者の思いが表れているようです。

 確かに、補習校では日本の学校の1年間分のカリキュラムを約40日に凝縮していますので、学習内容の定着が見えにくいというのが実状です。一方、学習塾では入試問題を解くための知識やテクニックを集中的に教えます。その結果、テストの点数や受験での合格など目に見える形となって表れるため、保護者が補習校よりも学習塾を優先させるということも納得できないことはありません。

 しかし、海外生活においては、日本に準じた学校生活を通じて、集団生活で守るべきルールや言動、年長者に対する態度やマナー、年少者に対する思いやりなどを学ぶ必要があります。これらは学齢期にしっかり身に付けておかないと社会に出てから非常識な大人になってしまう可能性もあり、健全な心身育成のためにはとても大切なことです。もちろん、現地校でも学校生活を通した指導が行われていますが、それは米国の風習に基づくものであり、日本の社会で通用するものとは少々異なります。例えば、敬語や礼儀作法は日本独自のものです。

 補習校では、日常の授業や学校生活を通して、大きな声できちんとあいさつをすること、正しいお辞儀の仕方、悪いことをしたり、けんかをしたりした時の謝り方、先生や大人に対する話し方なども教えています。また、入学式や卒業式、始業式や終業式、運動会や学芸会などもできる限り、日本の学校に近い形で行っています。昼食後や授業終了後の清掃もしています。このような通常の学校生活や学校行事を通して、同級生とのチームワークをきちんと取れるように指導しているのです。「協調性」は日本の社会で生きるためにはとても大切なことですが、米国の社会で育った子供には、それがやや欠けているように見られることもあります。

 日本に帰国後、大変なのは勉強だけではありません。日本の学校のルールや先生や友達とのやり取りなどが、帰国生にとっては当惑することであったりするのです。同級生とは異なった言動をすることによって、学校での居心地が悪くなることもあります。先生とトラブルを起こしてしまうケースも耳にします。補習校での生活指導を受けていれば、こんな心配も不要です。

 補習校は日本の学校とは異なり、毎週土曜日の送迎、保護者の学校運営への参加など面倒なこともたくさんありますが、子どもにとって大切なことは何かを考える必要があるのではないでしょうか。

                       

                 「週刊ビジネスニュース」 2010年4月24日号掲載

                                

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