日米の教育事情
〜不況が子どもたちの進学に与える影響

 

 米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

こんな時代だからこそ工夫して乗り切りたい

 

日本を昨秋直撃した金融危機の影響で、各企業の利益が赤字に転落しています。このような経営難の時代を乗り切るために、リストラが盛んに行われ、社員を解雇したり、ボーナスや給与を削減したりする動きも目立っています。そして、それらは少なからず子どもたちの進学にも影響を与えているようです。

3月27日号のコラムにて紹介しましたとおり、私立大学の自宅外通学生の場合、学費や生活費として、初年度は約300万円、2年次以降も毎年約230万円程度が必要です。これは一人当たりの金額ですので、複数の子どもが大学生であるとすると、親御さんは重い負担を強いられます。そのため、子どもが本当に入りたい大学ではなく、できる限りお金のかからない大学に入ることにしたという話もしばしば耳にします。子どもは大都市の私立大を目指しても親は地元の国公立大を望み、一方で子どもが国公立大でも自宅から通えない大学を目指すと、私立大学でよいので親元から通ってほしいという話にもなるようです。

現在の大学入試は、少子化の影響で入学率(大学志願者の内、入学することのできる比率)は年々上昇し続けています。いわゆる「入りたい大学に入れる」状況となっています。しかし、「入れる大学があるのに入れない」というのは子どもにとって大変かわいそうなことです。

米国の大学は州立でも決して学費は安くはありません。同じ大学でも州外の学生の授業料は州内の学生の授業料よりも割り高です。例えば、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の年間授業料は、州内学生が約80万円なのに対して州外学生は約280万円です。州外学生はこれに寮費またはアパート代を含めた生活費が加算されますので、日本の私立大学の自宅外通学生よりも負担が大きいことになります。また、州内の州立大学に入学するとしても、国土が広いので自宅から通学できる学生はそう多くはありませんので、寮費またはアパート代などを含めた生活費の負担が大きいのが実情です。ただし、大学進学にかかる費用を親がすべて負担するということは多くはありません。ローンを利用して卒業後に返却するとか、学費を自分で稼いでから入学するなどが一般的です。そして、多数の奨学金制度を利用して負担を少しでも軽減できるよう工夫しています。

日本では、大学は高校卒業後、親に学費を負担してもらって入学するのが当然になっていますので、親の経済状態が進学にも影響を及ぼしてしまうのでしょう。しかし、米国のように親がすべて負担するという考え方を改めたり、ローンや奨学金の利用をして、子どもが入りたい大学に入れるようにしてあげたいものです。

また、視点を変えて考えたいことは、大学入学と同時に親離れをすることも必要なのではないかということです。寮やアパート、下宿などで一人暮らしをすることによって、お金の大切さや親のありがたみを実感できますし、食事や掃除・洗濯などを自分で行うことは、大人になるに当たってとても大切なことだと思います。

                       

                 ~「週刊ビジネスニュース」 2009年5月22日号掲載

                                

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