日米の教育事情

〜里山での日本語・日本文化体験の効果

 

 米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

  

多くの人々との交流により多様な日本語に触れることが大切

 海外に暮らし日本語学習中の小中学生と高校生を対象とした日本語・日本文化体験学習プログラム「サマーキャンプ in ぎふ」第1期が終了しました。この企画は今年で5年目を迎えましたが、毎年米国をはじめ、海外の子どもたちが岐阜県揖斐(いび)郡揖斐川(いびがわ)町を拠点に多彩なプログラムを体験しています。

 今回のグループは、里山の棚田での稲作の見学、禅宗の寺院での修行、地元の小中学校や高校での授業や学校生活やホームステイなどを体験し、有意義で楽しいキャンプ生活を送ることができました。

 棚田の見学では、約400年前に山を削って作られたことや、棚田が稲作のみではなく山崩れを防ぐダムのような働きをしていることを学びました。また、棚田で田植えを体験した地元の小学生の話を聞く機会もありました。同年代の子どもの話によって棚田の存在をより身近に感じられたようです。禅宗の寺院では、座禅や食事の作法などの禅宗僧侶の修行を体験しましたが、生活空間を清潔に保つための清掃が一番大切な修行であることを知った子どもたちが真剣に清掃に取り組んでいたことは印象的でした。

 このほか、地元のおばさんたちの演ずる紙芝居や人形劇を鑑賞したり、小中学生のバレーボールチームや合唱団との交流を行ったりもしました。紙芝居や人形劇の題材は地元に残る民話でしたが、「嘘をついてはいけない」とか「ものを独り占めしないしてはいけない」というような、その話を通じて伝えようとしている教訓を十分に理解できたようです。また、同年代の子どもたちとの交流はとても楽しい時間となりました。初めて会ったことを感じさせないくらい仲良くなり、日本語を話すのは苦手という子どもでも大きな声ではしゃいでいました。

 このサマーキャンプでは、より多くの日本語を体験する機会を作っていますが、地元の人々とたくさん交流することが、日本語力の向上にはより効果的であると思います。自分の親以外の大人が使う日本語はもちろんですが、同年代の子どもの使う日本語も、いつも触れている日本語とは異なっていることを知ることは、ボキャブラリーや表現力の向上につながります。このような体験ができるのは、このサマーキャンプが幅広い年齢層の人々との交流ができる里山で行われているからなのです。

 10グループ目となる第2期は現在実施中で、8月4日に終了予定です。

                       

                 「週刊ビジネスニュース」 2010年7月24日号掲載

                                

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