日本の教育事情

〜環境が子どもを変化させ、子どもを育む

 

 米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

日本の生活ルールを体感したサマーキャンプ

 

現在、日本語・日本文化体験学習プログラム「サマーキャンプ in ぎふ2008」実施のために日本の里山(岐阜県揖斐郡揖斐川町)に滞在しています。このサマーキャンプは72日から16日までと723日から86日までの2期間にわたって実施します。

まず、サマーキャンプの参加者とともに第1期の2週間を過ごし、「環境が子どもを変える」ということを実感しました。この言葉は、サマーキャンプ参加者の学校体験プログラムにご協力をくださった小学校の校長先生からお聞きしたものです。この学校では、毎年小学校5年生を対象に校外での宿泊研修を行っています。ここでの生活を通じて、子どもたちは子どもたち同士で助け合う姿勢が身に付き、教師の指示がなくても自分たちで考え行動できるようになるそうです。つまり、日ごろの学校生活とは全く異なった子どもの姿が見られるのです。

今年の第1期の参加者は小学4年生から高校1年生までの10名でしたが、確かにともに過ごした2週間で、環境(活動場所)が変わる度に参加者の態度・行動は変化しました。

寺院では、住職のご指導を仰ぎ、禅宗の流儀にて清掃、食事、読経、座禅を体験しました。子どもたち同士での会話が耐えることのない位おしゃべり好きで、動き回るか、ごろごろ寝転ぶような参加者も、ここでは無言で食事をしたり、じっと正座をしたりすることができました。一方、古民家「かやぶきの家」での生活では、初めは、すべて他人任せにしようという態度や、自分中心の行動が見られた参加者も、そこで生活するために、皆で協力して掃除をしたり、食事を作ったり、後片付けをしたりすることが大切であることを学び、それを実践しました。

しかし、これらの体験を経て、食事の準備や後片付けの必要のなくなった宿泊施設に戻った時点で参加者の態度は急変し、助け合いの精神が薄れてしまったのです。それが顕著に見られた出来事が起こりました。このサマーキャンプで毎回交流を行っている地元の小中学生のバレーボールクラブとの合同練習の場で、参加者たちはクラブの子どもたちがネット張りやボールなどの準備などをしているにもかかわらず、好き勝手に遊んでいたのです。それを見た監督さんに震え上がるほどの叱責を受け、参加者は目覚めました。その後に2回行われた合同練習では、クラブの子どもたちが来る前に準備を行う参加者の姿が見られました。

2週間にわたるサマーキャンプでの活動場所=環境は、寺院、古民家、学校、地域住民宅と変化し、さらに諸団体との交流がありますが、それぞれに関わる人々が異なり、それぞれがあるルールの下に共同で生活したり、行動したりしています。参加者は、活動場所=環境によって、自分たちがそのルールに合わせねばならないこと、そしてそこにいる人々と協同することの大切さを学んだようです。「郷に入っては郷に従え。」という言葉=日本の生活ルールを体感できたことは、参加者にとって大きな収穫でした。

 

                        ~「週刊ビジネスニュース」 2008年7月25日号掲載

                                

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