日米の教育事情

〜現在の戦争教育に求められるもの

 

 米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

  

戦争体験者の話を聞いて身近に感じることが大切

 今年の広島と長崎の平和記念式典には、国連事務総長と英仏の臨時代理大使が初めて参列し、広島には米駐日大使も初めて参列するなど、「核廃絶」に向けて大きく前進しました。これを機会に戦争の悲惨さを再認識し、世界から戦争がなくなるよう努力したいものです。

 戦争が起こるのには複雑な理由があるのですが、戦争を引き起こすのは人間です。一人一人の人間が戦争をしないという意識を持つことが必要です。そのためには教育がとても重要だと思います。

 戦前の日本では戦争は正しいと教えました。もちろん、戦後はそうではないと教えていますが、今では教える教師自身が戦争を知らない世代になり、子供たちに戦争を身近にとらえさせることがなかなか難しいのが実状です。米国では、軍人として戦場に赴き、亡くなったり重傷を負ったりした人が身近にいることがあります。その場合は戦争の悲惨さを実感することができます。しかし、戦場となった地域に暮らし、一方的に被害を受けた人々のことを身近に感じることはできないでしょう。

 第二次大戦では、日本の各地が爆撃を受け、多数の人々が犠牲になりました。また爆撃を避けるために親元を離れ疎開し、寂しい思いをした子供もいました。このようなことは、歴史的な出来事として教科書や書籍、テレビ、映画などで知ることができますが、それが身近な人のことであれば、より実感できるでしょう。私は祖父母や両親から戦時中の日本の様子をよく聞かされ、戦争の悲惨さをリアルに感じることができました。

 ただし、戦後65年が過ぎ、戦争体験を語ることのできる人は70歳後半以上となっています。これらの人々の記憶も幼少時ものであり、だんだん薄れつつあります。さらに、自分自身の悲惨な体験を思い出したくないという気持ちもあるようです。しかし、これらの人々から話を聞くことができるのもそんなに長くはありません。また、海外の場合、おじいさんおばあさんが戦争体験者であっても、日本にいるのでなかなか話す機会がないということもあるでしょう。しかし、電話や手紙で連絡を取って、ぜひ話を聞いてほしいと思います。親族に戦争体験者がいない場合は、一時帰国の際に近所の戦争体験者に話を聞くのもよいでしょう。

 戦争の悲惨さは風化させたくないですね。

                       

                 「週刊ビジネスニュース」 2010年8月28日号掲載

                                

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