アメリカの教育事情

〜日本とは入学の時期や入学の基準が異なる現地校

 

米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

英語力、将来の受験の双方に無理のないよう考慮するのが望ましい

 9月の第1月曜日の祝日Labor Day(労働者の日)を過ぎると全米の多くの地域の学校の新学年が始まります。一部の地域では8月下旬から始まっていますが、約3ヶ月間の長い夏休みが終わると進学・進級の季節がやってきます。この時期ですから日本のように桜の花が彩を添えることもありませんし、入学式という行事もありません。新入生も初日から終日授業です。日本の場合、小学1年生の入学式は両親はもちろん、祖父母も参加し、新しいランドセルを背負って記念撮影するなど、お祝いムードが満ち溢れていますが、アメリカではそんな光景は見られません。今回はそんなアメリカの学校(現地校)の入学の仕組みに触れてみましょう。

 アメリカの小学校(Elementary School)の入学の基準は州によって異なります。入学する年の9月までに学年相当の年齢(1年生は6歳)となっていることとする州やその基準を12月とする州などがあります。いずれにしても42日を基準にしている日本とは異なっているので、日本の学年とは違う学年になることがあります。例えば私の娘は199611月生まれなので日本では5年生ですが、12月を基準とする州で入学したため現地校の学年では6年生です。

 さらに、小学校、中学校(Middle SchoolまたはJunior High School)、高校(High School)の学年区分も州や学校区によって異なります。私たちが現在住んでいる学区ではElementary Schoolを5年生で卒業し、6年生から8年生までをMiddle School、9年生から12年生までをHigh Schoolに通うことになります。つまり、5--4制となっています。学年区分は他に6‐3‐3制、6--4制などがあります。

 さて、ここでこのような仕組みにおける注意点を述べさせていただきます。それは、日本から来たばかりの子を日本の学年より1つ上の学年に入学させるかどうかという点です。幼児や小学校低学年であれば、英語環境にも順応し易く、すぐに授業やクラスメートとの会話にも慣れるでしょう。しかし、学年が上がるにつれ授業内容もクラスメートの会話内容もレベルの高い英語力が必要となります。無理をしないで学校の基準より1つ下げた学年に入ることをお勧めします。アメリカでは子どもの能力や個性を尊重しますので学年を下げることを親が要求して学校が認めれば可能なのです。ただし学年を上げることは学校側の判断によります。

 一方、学年を1つ下げた場合、日本に帰国した時に不都合なこともあります。義務教育期間中の編入は問題ないのですが、高校には1学年遅れて入学することになります。つまり、日本では中学3年に該当しても、現地校では6月に9年生を修了するということになると、受験期の1〜2月には卒業見込みの資格が出ないのです。つまり、高校入試の受験資格がないということになり、次の年に受験せざるを得ないということが起こるのです。この場合、日本の中学かアメリカの全日制の日本人学校に編入して3月の卒業見込みの資格を得て受験するという方法もあります。ただし、滞米年数によっては帰国子女入試の受験資格が得られなかったりすることもありますので注意が必要です。

 このように、現地校入学時の学年の選定は、直面する英語力の問題と、将来的な帰国時の入学という問題との双方を考える必要があるのです。

 

                           ~Weekly Business News 2007年9月7日号掲載

 

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