日本の教育事情

〜増加するリメディアル教育

 

米日教育交流協議会

代表 丹羽筆人

 

 

中高生の学力低下を未然に防ぐには、学業にも課外活動にも励む生活が必要

 日本の大学では、「ゆとりの教育」による学力低下と少子化による大学入試の緩和の煽りを受け、学生に対して大学教育に最低限必要な中高生レベルの学習を再度やり直すというリメディアル教育が増加しています。以前にも書きましたが、日本の大学には、奈良時代の次は明治時代だと思っている、3割が30%と同じということを知らない、というレベルの学生もいるご時世ですから当然のことと言えるでしょう。

 リメディアル教育を実施している大学では、とても大学講師の手に負えず、予備校や学習塾と契約して講師を派遣してもらうところもあるそうです。大学がここまでして学生の確保をしなければならないという背景には、目前に迫った大学全入時代(大学入学希望者数と大学定員総数が同じになる)の到来があります。

そこまでして大学なのかという声もあるでしょうけれど、リメディアル教育を受けたことによって、大学の学問を全うして卒業し、立派な社会人として日本の未来に貢献してくれる若者が誕生すれば、それはそれで良いことだと思います。

 リメディアル教育が必要となる原因として、学生確保に懸命な大学側の入学試験の内容を指摘する声もあります。学力試験の教科数を減らすという動きは過去のことで、最近では教科学力試験を要する一般入試枠を減らして、教科学力試験を必要としない推薦入試やAO入試の枠を増加する大学が目立っており、私立大学では後者の比率が前者を上回る勢いだそうです。確かに教科学力試験を課していれば、リメディアル教育の必要な学生を振るい落とすことができるかもしれません。しかし、私は推薦入試やAO入試をもっと増加させるべきだと思います。

 推薦入試やAO入試は、学校の調査書(成績)や学校の推薦書、そして小論文や面接で合否の判定がなされます。つまり、受験生の態度や性格など教科学力試験では見ることのできない人物面を判定ことができます。そして、大学入学前の中学や高校の教育において勉強に課外活動にいかに励んだかも見ることができます。ご存知の通り、アメリカの大学の入試はAO入試です。志望校の合格のためには、学校の成績はもちろん、TOEFLSATなどの統一試験もスコアが基準を達してないといけません。それだけでなく、学業以外の活動状況も評価の対象となります。つまり、中学や高校ですべての分野において日々がんばった受験生が評価されるのです。

 日本の大学もこのようなAO入試が増加すれば、中学や高校で一生懸命勉強したり、課外活動に励んだりという生徒が増えるのではないかと思います。また、最近の子供や若者は学力面の低下のみならず、そのマナー、言葉遣い、生活信条などの面においてもレベルの低さが感じられるようです。私は個人的には学力低下よりそちらの方が心配なので、この点の解消にもAO入試の増加が一役買えるのではないかと思っています。皆さん、いかがでしょうか?

        〜Weekly Business News 2006年9月22日号掲載

 

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