|
在米日本人の教育を考える 〜長期滞在の子供たちに対する日本語教育のへの取り組み
米日教育交流協議会 代表 丹羽筆人
日本の文化との出会い、多くの人々との交流が芽生えさせた日本語学習への意欲 日本の山間部では、年々過疎化が進行しています。若い世代が地域を離れることによって子供の数が減少し、廃校となる学校も見られるようになりました。そのような学校をよみがえらせようという動きが全国各地で見られています。その一つが岐阜県西部に位置する揖斐(いび)郡旧横蔵村立の横蔵小学校の校舎を改修した宿泊研修施設の「ラーニングアーバー横蔵です。客室、食堂、浴室などを見ると一般の旅館となんらも変わりませんが、外観はまさに学校、また各部屋のドアや窓、廊下や階段には懐かしい学校の雰囲気が残っています。因みに客室は元教室、浴室は元理科室とのこと。また、体育館は学校当時のままの形で残し利用されています。施設の周辺は美しい山々とそこを流れる清流という自然に恵まれています。自然体験には最適の環境があり、ハイキングやバードウォッチング、山菜狩り、渓流釣りなどが楽しめます。 この施設は小学生〜社会人の合宿場所として利用されている他、地元の住民を講師とした伝統工芸や農作業体験講座を企画・運営するNPO法人「ぎふいび生活楽校」の活動拠点ともなっています。草木染、つる草工芸、竹細工、藁細工、木工、そば作り、野菜作り、稲作などの各種体験ができます。また、地元のスポーツチームが毎週定期的に体育館を利用して活動していますし、地域住民の会合も行われており、そこに暮らす人々との交流の機会にも恵まれています。この施設は廃校となった今も地元の人々にとっては学校のように利用されているのです。 米日教育交流協議会が主催した「サマーキャンプ in ぎふ」はこの施設をメインの宿泊場所として活動をしました。参加者はいずれもアメリカ生活の長い小中学生ですが、日本の美しい自然に恵まれた環境の中で、日本の伝統文化と地域の住民とのあたたかい交流を体験することができました。アメリカでは味わうことのできない貴重な体験をする中で、初めて使う言葉や、聞いたことはあるのだけれど見たことのなかったものに出会うことができました。このことによって、日本語のボキャブラリーが増えただけではなく、日本の風物に関する理解度も高まりました。また、地域住民との交流によって、世代を超えた人々と日本語で会話する機会にも恵まれ、聞き取りや表現力の向上にも効果的でした。過疎化が進行しているこの地では、子供と接する機会の少なくなった高齢者達が寂しい暮らしを送っています。だからこそ、アメリカから来た子供達は人気者で、多くの人々が話しかけてきます。そのようなあたたかい人々との出会いによって、子供達は日本の良さを実感し、日本語に対する学習意欲も確実に芽生えていました。 このように、アメリカ生活の長い子供に対する日本語学習は、異文化環境の中で日本語を押し付けるのではなく、日本の美しい自然、貴重な伝統文化、あたたかい人々に恵まれた日本の良さを実感できるような環境での生活を通じて行うのが効果的であると思います。
|
|
〜Weekly Business News 2006年10月6日号掲載
|