米国の教育事情

〜変わり行く在米教育機関(東海岸)

 

米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

駐在員子女の低年齢化、永住者や国際結婚者子女の増加

 9月下旬に、東海岸のトライステート・エリアとワシントンDCの教育機関を訪問してきました。トライステート・エリアはニューヨーク州の南、ニュージャージー州の東、コネティカット州の南の人口の集中しているエリアを指します。ここに在住する日本人の数は全米一で約6万人となっています。その内、駐在員やその家族、学生などの非移民は約4万6千人で、それもまた全米第一位です。それだけの数の日本人が暮らしているために、日本食料品店やレストラン、病院や美容室などが多数存在し、新聞・雑誌、テレビなどでの日本語による情報も充実しています。アメリカにいながら、日本的な生活を送ることのできるエリアといっても良いでしょう。

 教育機関も全日制の日本人学校や幼稚園があるので、アメリカの学校や幼稚園を利用せずに過ごすこともできます。ただし、せっかくアメリカに来たのだから英語を身につけさせたいという親の要望が強い傾向にあり、日本人学校や幼稚園の規模はそれほど大きくはないというのが現状です。つまり、このエリアの多くの日本人子女は、日本人学校のないアメリカの他地域と同様に、平日は現地校、週末は補習校に通学しているのです。ただし、このエリアには個人塾も含め多数の学習塾がありますので、平日夕方は学習塾にも通学しているという忙しい子どももいます。それは、将来日本に帰国することを想定して日本語力の保持や入学試験対策を意識しているからです。

 ところで、ここ数年はこの様子にも変化が生じているようです。目立つのは将来の受験を意識した子どもの補習校離れです。大学、高校、中学ともに、帰国生入試では英語力が重要視されるようになりました。補習校は日本の教科書を利用した日本語学習を主たる目的としていますから、一般的には英語の対策は行なわれません。また、銀行や商社を中心に駐在員の数が減少傾向にあります。そして、新しく赴任する駐在員の若年化傾向によって、特に中学や高校部ではクラス数の減少が見られます。さらに、クラス内の駐在員子女の比率低下が進み、永住者や米国市民の子女の比率が高まっているのです。それに伴って、クラス全体の日本語力も低下傾向にあり、日本の学校の受験を意識した子どもは、週末も補習校ではなく、学習塾に通学する傾向が目立つのです。英語対策と受験指導のないことが補習校離れを促しているようです。ただし、補習校の中には、保護者の方を中心に将来の帰国を意識した入試情報の収集を積極的に行ったり、学校と連携を取り入試対策ともなる小論文のクラスを導入したりしているところもあります。

 ワシントンDCには、補習校といくつかの学習塾があります。学習塾は多くはありませんので、補習校に通学する人が多く、またその数も増加傾向となっているそうです。官公庁やマスコミ関係の教育熱心な保護者が中心となって、学校全体の活性化を図っているようです。

 次回以降、西海岸や中西部の現状についてもお伝えします。

                        ~Weekly Business News 2007年10月12日号掲載

                                

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