日本の教育事情

〜愛国心教育の是非を考える

 

米日教育交流協議会

代表 丹羽筆人

 

家族を愛する心を養うことが大切

 最近世間を騒がせている北朝鮮の核実験問題を受けて、自民党の中川政調会長が「日本の核保有も選択肢」と発言したことが波紋を呼んでいます。中川氏には与野党からの多くの批判的の声が向けられています。日本は唯一の被爆国として非核三原則を国是としています。確かに先のミサイル発射問題も併せ、北朝鮮の動きは日本にとって脅威ですが、絶対に武力を持って対抗することを考えてはならないと思います。

 一方、最近の国会にて教育基本法の改正案が審議されています。その教育目標に「国と郷土を愛する」と表記されていることに対して野党が反発しています。この表記を戦前の愛国心教育と重ね合わせた発言だと思われます。ただし、戦前の愛国心教育は軍部の思惑によって、愛する国を守ることを教えるために当時の最高権力者である天皇の名を使い、戦争をすることは天皇の命令であり、それに反対するものを非国民呼ばわりしたのです。しかし、国民の多くは心の底では戦争を憎んでいたと思います。神風特攻隊の隊員は、「天皇陛下万歳」と叫んでアメリカの空母に撃墜したと言われますが、愛する国に暮らす愛する家族を守るために若い命を犠牲にしたことが彼らの手記を読むと分かります

 愛国心教育はアメリカの学校では当たり前のように行われているものです。国旗に向かって胸に手を当てて国に忠誠を誓う言葉を述べることが朝の日課になっている学校もあります。アメリカの愛国心の対象である国家の代表は国民であり、国民にとって一番大切なのは愛する自分の家族なのです。つまり、家族を愛することがそこに暮らす国を愛することにつながっているのです。

 家族は人が生まれて初めて出会う一番大切な人々の集合体です。その家族の集合体が国家を形成しています。そんな大切な家族を愛することは当然のことです。しかし、最近の日本では親が子供を虐待する事件や子供が親を殺害する事件などが目立っています。まず、このようは事件を失くすようにしなければならないと思います。また、他人であったとしても人を傷つけたり、死に至らしめるということは、その家族を奪っていることになっているのです。その対象が外国人であっても同じです。自分の国に脅威を与える悪事をしているからその国を武力で攻撃することを肯定化するような教育は、真の愛国心教育ではないと思います。子供達の中には「フセインは悪いやつだからイラクは攻撃されて当たり前。」「北朝鮮なんかつぶしてしまえばいい。」などという結構過激な発言も聞かれますが、イラクや北朝鮮にもそこに暮らす人々がいることを忘れているようです。家族を愛する心、人を愛する心をしっかりと教えていることができれば、何があっても人を傷つけたり命を奪ったりすることをしてはならないと思うのではないでしょうか。そういう意味で家族を愛し、その暮らしの舞台である郷土を愛し、国を愛する教育が大切だと思います。

 

                          〜Weekly Business News 2006年10月20日号掲載

 

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