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日米の教育事情 〜高校卒業生の理科系離れを考える
米日教育交流協議会
適性や将来の進路を熟考し、安易な選択は避けたい 今年のノーベル賞が続々発表され、物理学賞を3人、化学賞を1人の日本人が受賞しました。日本人の受賞は2002年以来しばらくありませんでしたし、同じ年に4人が受賞するのは初めてですので嬉しいことですね。これまでの日本人の受賞者を見ると、物理学賞が7人、化学賞が4人、文学賞が2人、医学生理学賞と平和賞が各1人で、理科系分野での受賞者が目立ちます。 一方、戦後の高度経済成長によって「経済大国」となった背景にも、工業分野にて優れた技術を発揮して「工業立国」と成り得たことがあります。日本製品は世界有数の高評価を得ており、日本人の技術者・研究者のレベルの高さを計り知ることができます。 このように、理科系分野にて世界屈指の実力を発揮している日本人ですが、今後はそうは行かないかもしれません。それは若い世代に理科系離れが見られるからです。 文部科学省が発表した「平成20年度学校基本調査速報」によると、大学の学部学生の学科別構成比は「社会科学」が35.8%で最も高く、次いで「工学」(16.3%)、「人文科学」(15.6%)の順になっています。工学、理学、農学、医・歯学、薬学の理科系分野を併せても3割にも至っていませんし、工学、理学、医・歯学は減少傾向にあります。また、大学院博士課程学生の構成比を10年前と比較して見ると、「工学」が20.1%から18.5%「理学」が11.0%から7.2%、「農学」が6.9%から5.5%、「医・歯学」が30.0%から26.7%と「薬学」を除き軒並み下がっています。理科系の研究職を志す学生も減少しています。 この背景には、最近の若者の志向の変化があるようです。理科系大学に進学するための数学や理科の学習が難しい、また、大学入学後も大学院でも、就職してからも地道な努力が必要で華やかさがない。このようなイメージが理科系への敬遠傾向を生み出しているようです。あるノーベル賞を受賞した学者は、「やり始めたら、やめてはだめ。」というメッセージを送っておられました。難しいことにチャレンジしたり、失敗しても地道に努力を続けたりすることのできない若者の増加が理科系離れの要因の一つだと思われます。
もう一つには、子どもの頃から、自分で創意工夫して物を作るという経験が足りないことも挙げられます。ゲーム機器で作られた遊びを楽しむことはできても、何もないところで楽しむすべを知らない、また道具を作ることもできない子どもが増加しているのです。戦前や戦後間もない頃の日本は貧しく、社会全体が豊かさを求めて「ものづくり」に励みました。子どもも自分たちで工夫をして遊びました。ところが、経済発展に伴い、物質的豊かさをお金で求めるようになってきました。「もの」はつくるものではなく、買うものになってしまったのです。そして、子どもは作る喜びを味わえなくなったのです。
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~「週刊ビジネスニュース」 2008年10月24日号掲載
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