在米子女教育を考える

〜将来の入試にも必要な異文化理解

 

米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

日米間の違いのみでなく、共通する部分にも目を向けることが大切

 

 11月第3木曜日はサンクスギビングデー(感謝祭)です。感謝祭はアメリカにおけるイギリスの第2の植民地(現在のマサチューセッツ州プリマス)の入植者たちが始めたものです。彼らは自由な信仰を求めて1620年メイフラワー号でやってきたピルグリム(殉教者)でした。しかし、たどり着いた新天地では食糧の確保がままならず、多くの人々が死んでいきました。そんな彼らを助けてくれたのが先住民のアメリカ・インディアンのアルゴンキン族でした。とうもろこしの栽培方法を享受し、翌年秋の収穫の際にそれを祝い、ピルグリムが先住民に感謝したというのがこの行事の起こりです。この祭りの形式は、もともと先住民が行っていた感謝祭をまねたようです。多くの人が収穫には直接関わらない現在では、ターキー(七面鳥)を焼いて、親戚や知人が集まって楽しむ行事となっています。

 日本では、ほぼ同時期の1123日が国民の祝日の一つ、勤労感謝の日です。「勤労」という言葉からアメリカのレイバーデー(直訳すると労働の日)と同じ祝日と思われがちですが、戦前までは天皇が「新嘗祭(にいなめさい)」という収穫を感謝する式典を行う日だったのです。かつては農業中心の国であった日本に暮らす人々にとっては、この「新嘗祭」はとても重要な行事であり、各地の農村では独自に収穫を祝うお祭りを行っていました。このお祭りは今も全国各地に伝承されています。戦後、それまでの法令下の祝日の見直しが図られる中で、産業構造の変化も睨んで、「新嘗祭」はすべての労働者をねぎらう目的の勤労感謝の日となったのです。

 ここで注目していただきたいのは、遠く離れ、国交もなかった日本とアメリカで「収穫を祝う」という目的を同じくする祭りが行われていたということです。外国と自国の違い、つまり異文化に注目することが多いのですが、国が異なっても同質の文化があるのです。違いばかりを取り上げて理解するという姿勢での異文化理解ではなく、異なった国の間の共通点を見つける異文化理解も必要だと考えます。

 今後、日本に帰国して日本の中学や高校、大学に入学を予定されているお子さんは、入学試験の小論文(作文)や面接の中で、異文化理解、そして、自国の文化との違いを指摘することが求められます。その際に、日本とアメリカとの間の文化の違いばかりに目を向けるのではなく、共通点を取り上げ、その理由について考えて表現すれば、読み手や聞き手、つまり試験官の興味を惹くこともできるのではないかと思います。このことは、アメリカの大学に進学されるお子さんにとっても必要なことです。

 なぜ日本人はクリスマスを祝ったり、ハロウィーンを楽しむのか、なぜアメリカ人は日本食を好み、日本製品を使うのか、またそこにどんな問題が潜んでいるのか、などを家庭内で話し合ってみると、お子さんにとっても良い勉強になることでしょう。

 アメリカでは、このサンクスギビングデーを初日とする4連休、12月のクリスマス休暇と長期の休日が続きます。ローストターキーやローストチキンをいただきながら、ぜひ家庭内での語り合いをされますことをお勧めします。では良い休日を!

 

                        ~Weekly Business News 2007年11月23日号掲載

                                

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