日米の教育事情

〜国立から私立へ、理系から文系への鞍替え目立つ

 

 米日教育交流協議会
代表 丹羽筆人

 

できるだけ避けたい安易な志望変更

 帰国生大学入試進学講演会実施のために、11月上旬から全米各地を訪問しています。各地区にて、将来の進路について真剣に考えている高校生たちにめぐり合えたことをとても嬉しく思っています。高校生たちは、自分の行きたい大学や学部はあるのだが、現地校の成績があまり良くないとか、クラブ活動やボランティア活動を熱心にしていないが大丈夫か、TOEFLSATのスコアが伸びなくて困っている、などの不安を抱えているようでした。

 この講演会では、現地校の成績や英語力はある程度は必要とされるが、やはり、日本の大学に入学するのだから、大学の講義についていけるだけの日本語力が必要ということ、大学や学部の選定を重要視することを強調してお話しました。

帰国生大学入試で現地校の成績や統一試験のスコアを重視しているのは、慶応義塾大(医・薬学部除く)と、国際基督教大の秋入学、上智大(国際教養)や早稲田大(国際教養)など少数です。一橋大、早稲田大(国際教養以外)、上智大(国際教養以外)、立教大、法政大など約8割が各大学が行う学力試験の成績を重視しています。東大、京大などは一次選考で現地での成績を使いますが、二次選考は学力試験です。従って、日々直面している現地校の学習や、スコアが明確に表れるTOEFLSATの対策に傾きがちな学習スタイルを、日本語学習も毎日行うように改めることが必要です。具体的には、志望学部での研究内容に関連する書籍、新聞社の社説などをできる限り多く読み、日本語での知識や語彙、表現を増やすことが大切なのです。

また、帰国生大学入試は、私立大学の志望上位校である早稲田大、慶応義塾大、上智大、国際基督教大、東京理科大が新年度入試では最初となる9月に入試を行います。従って、これらの大学に合格すると、翌年4月の入学を待つばかりとなる受験生も目立ちます。この後受験するのは、10月以降に入試が行われるMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)などの受験生や、国公立大を狙う受験生です。国立大でも難関大志望者は、2月下旬の入試まで5ヶ月ほど受験勉強が続きます。10月から年末にかけて次々と実家に帰ったり、仲間が集まって遊びの計画を立てたりしているのを横目に、じっと我慢して勉強することは、よほど強い意志がないといけません。中には国立大入試を諦めて私立大に入学を決めてしまう受験生もいます。

 また、帰国生大学入試では、理科系志望であったのに、文科系に鞍替えする受験生もいます。これは、受験勉強が大変だからです。帰国生大学入試の入試科目は、小論文と英語、日本語(国語)+面接が基本です。理科系の場合は、そこに数学や理科が加わります。現地校でも学習している科目ですが、日本語で出題されますし、海外とは出題パターンが異なったり、履修していない分野が含まれていたりするので厄介です。しかし、理科系と文科系では大学での研究内容が異なりますので、その選択は将来の進路に大きな影響を与えます。
 
大切なことは、自分が何を学び、将来どのような職業に就きたいかということです。安易な志望変更は、自分の将来を左右することも念頭においてがんばって欲しいものです。「初志貫徹」することが成功の秘訣なのです

 

                       

                 ~「週刊ビジネスニュース」 2008年12月12日号掲載

                                

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